「雇用関係によらない働き方」に関する研究会の内容確認

この記事は、 フリーランス Advent Calendar 2016 の24日目です。

去る10月、安倍内閣の 働き方改革 の一貫として、フリーランス促進をしていく方針であることが 報道 されました。 働き方改革は、 アベノミクス第3の矢(構造改革)の柱 として位置付けられている政策です。11月と12月には、この政策に関する研究会が実施され、それぞれ資料が公開されています。

そこで、我々フリーランスにとって関心の高い、この政策の動向を占うものとなるであろう研究会の内容について見ていきます。

第1回 「雇用関係によらない働き方」の現状及び人材育成・教育訓練のあり方について

この研究会の趣旨は、「兼業・副業」や「フリーランサー」のような、「時間・場所・契約にとらわれない、柔軟な働き方」の実態や課題を把握し、政策の方向を検討する場を設けることです。

第1回研究会では、これまで経産省や厚生労働省といった省庁によって行われてきた 新産業構造ビジョン働き方の未来2035 などの成果に基いて、「雇用関係によらない働き方」の 現状と課題についての整理 が行われました。また、海外におけるフリーランスの状況が紹介されました。

発表資料の中にわかりやすい図があったため抜粋します。

abenomics freelance model

雇用関係によらない働き方の模式図

上の図における社会環境、つまり国の提供する制度・サービスをどのように変えるべきかというのが、この研究会の主な検討内容になるはずです。

この研究会における論点として挙げられていたのは、次の4つです。

  • 人材育成
  • 労働法制
  • 社会保障制度
  • 企業・業界としての取組、政策的支援

第1回のテーマである人材育成についても 検討が行われました 。こちらも、国内の現状の取組と、海外事例が合わせて紹介されました。そこで、今後検討すべき課題として挙げられたのが次の4つです。

  • 働き手のスキル意識
  • 人材育成・教育訓練の提供主体・内容
  • 人材育成・教育訓練に係るコスト
  • スキル向上の評価方法

第2回 「雇用関係によらない働き方」の働き手にとって円滑に働くための環境整備のあり方について

第2回研究会では、 労働法制と社会保証制度についての検討が行われ 、 現状の国内法制・社会保障制度および、諸外国の法制・制度の整理が行われました。また、 法学者からの発表 もありました。 労働法の対象が今後自営業にも広がっていくという指摘が興味深かったです。

「雇用関係によらない働き方」に関する研究会参加者

これまでのところ、この研究会に参加したのは以下のような属性の人達です。

委員:

  • キャリアコンサルタント
  • ジャーナリスト
  • 労働政策研究者
  • クラウドソーシング協会事務局長

第一回ゲスト:

  • パソナテック取締役
  • KAIZEN PLATFORM CEO
  • ランサーズ取締役
  • Waris代表取締役
  • フリーランス3名

第二回ゲスト:

  • パソナテック取締役
  • KAIZEN PLATFORM CEO
  • ランサーズ取締役
  • クラウドワークス執行役員
  • Waris代表取締役
  • 法学者
  • フリーランス3名

個人的には、事業者に比べてフリーランスが少ないように感じました。

「雇用関係によらない働き方」政策について我々のできること

基本的には、最終的に政策(法律)としてどういう形で反映されるのかをチェックしていくということになると思います。

Webアンケート が実施されるようなので、アンケートを通じてフリーランスの実態を政府に伝えることができます。

あとは、経産省宛てに 意見を送る なども考えられますが、効果があるのかは定かではありません。

所感

「独⽴志向」・「上昇志向」の両⽅ある⼈が起業を⽬指すのに対し、「独⽴志向」はあるけど「上昇志向」ではない⼈がフリーランスを志向する、という分析があり、それはその通りだなと思いました。 筆者自身、まったく上昇指向はなく、とりあえず家族が生活していければ十分です。 その他、おおむね書いてあることに違和感はなく、目指している方向がズレていると感じることもありませんでした。 あとは、その実現手段が適切かどうかということだと思います。

研究会のレポートを見ると、どうもこの政策は、クラウドソーシング事業者を中心に据えて展開していくことを想定しているようにも見えます。 筆者はいまのところクラウドソーシングを利用せずに、主に人脈を通じて仕事をしています。 人脈だけで商売ができている現状はたいへんありがたいですが、一方で脆さもあります。 もし人脈に頼らずに安定した働き方ができたら、独立した個人として、より強くなれるはずです。 しかし、現状でそれをすぐに実現することはできないため、手段として事業者を使うことが近道になるかもしれません。 その場合にも、クラウドソーシングのような形ではなく、どちらかということ、自分のパーソナリティーやスキルを把握した上で、 自分のかわりに足で仕事を取ってきてくれるエージェントのような形のほうが、個人的には期待が持てます。

それから、人材育成の一環で、スキルアップの「見える化」と題して、WEBライティング技能検定講座 を民間資格標準の取組として取り上げていましたが、Webライティングについては、キュレーションメディアの問題に端を発して、 問題を指摘されています 。ライティング自体もクラウドソーシング事例として取り上げられていました。しかし、Webにおけるライティングのクラウドソーシングがいくつかの問題を抱えていることは、いまとなっては散々指摘された事実なので、公的に取り上げるトピックではない気がします。

「雇用関係によらない働き方」政策における主役は、事業者ではなく、あくまで個々の働き手であるべきです。 極論を言えば、顧客とフリーランスの間の問題、働き手のライフスタイルの問題であって、中間事業者はなくてもかまわないわけです。 事業者に助成金をバラまくだけで、フリーランスの働き手にあまり恩恵がないというようなことでは、意味がありません。

フリーランスの普及を目指しているようですが、無理に数を増やす必要はないと思います。 ただ、フリーランスという生き方を選択しようとする人がいたときに、無用な障害がないように足場を整備してくれてさえいれば、十分です。 第二回研究会でも指摘されているように、現状、会社員は、フリーランスに比べて税制・社会保障上で優遇されているので、フリーランスの扱いも会社員と同程度に引き上げられるべきです。 もしいまの時代や社会にフリーランスがフィットするのであれば、自然と増えていくのではないでしょうか。

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